記憶の扉
33年ぶりに五反田から東急池上線に乗って、戸越銀座へ。
その街にある近代的なホールでアルゼンチンから来たピアニストの演奏を聴くためだ。
長い一本道の商店街として有名になったこの戸越銀座商店街を昔の様子とオーバーラップさせながら歩くと不思議な気分になる。
小学生の頃、今は会えなくなった従兄弟のMにーちゃんと入った喫茶店やジーパン屋、焼き鳥屋の「記憶の景色」はもう何処にもない。
今回は、単に見知らぬ街でのコンサートに出向く「白紙の気分の状態」ではなくなってしまった。
この想い出の中の商店街を小学生ではなく、初老の自分が歩いている不思議さ。
今日聴いたピアニスト「#カルロス アギーレ」のコンサートでは、彼の故郷の街の様子を作曲した友人の名前を紹介し、演奏していた。
うきうきし、飛び跳ねながら歩く子どもたちの様子。気持ちよく風が吹き抜けていくのをまぶしそうな眼差しで見つめる老人。
そんな「町で生きる人々」の様子まで見えてくるような演奏だった。
懐かしく、切ない記憶が呼び起こされたこの夜を僕は忘れないだろう。
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