初めて覚える気分
懐かしい場所が人手に渡り、手を加えられていく様子を知ったとき、今まで経験したことのない気分になった。「自分の想い出が壊されるときの気分はとても冷静でいられないということ」を初めて知ったのだ。
安曇野絵本館の館長が40歳で新たに自分の人生を始めたその場所、そして人生を終えたその場所で、一人の「登山靴を商う青年」がまた彼のエネルギーを注ぎ込む仕事を始める。
この場所の新しい主人となった青年のエネルギーは大勢(おおせい)だ。
再開発で駅前が整然と整理されていくように、彼の目的に見合うように建物、土地が改変されていく。
これが「諸行無常」ということなのだろう。
経験したことのないことを経験すること、これが大人になることだという心構えは随分前から持っていたはずだ。
そのときの気分にどう対処すればいいのか、だれも教えてはくれない。
知らないでおくこと、立場を変えて見つめてみること。どうやらこれが最善策のような気がする。
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