身体だということ

町田版画美術館で、畦地梅太郎展と田中彰展を観た。

梅太郎は70歳を過ぎてから、自分が観て来たものしか作品にできないと考え、素直な気持ち(あるいは諦めか)で作品制作に臨めるようになったと振り返っている。

それに対し、現在31歳の田中は非常にアクティブに制作に取り組み、充実感がみなぎっている。

逝った者と、今いる者。

この二人の作品を同時に鑑賞するときに、ある共通性に気づいた。

「好きだから」というモチベーションを通り過ぎたあと、身体を通して「自己検証」という時間を過ごすのだということ。

 検証し、解体し、構築する。この流れを人は十人十色に行い、去っていくのだな。

二つの会場を回りながら、会うことのなかったであろう二人の作家がお互いにエールを贈っているかのような気がしてならなかった。


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