秋 〜いざよい〜
暑かった夏も夜になると虫の音が耳に残り、もう秋が来ていることを感じる。
月も一日(ついたち)の新月から十五夜に向けてまた満ちていくわけだが、今年の中秋の名月(十五夜)は9月24日(月)。
人々はこの十五夜の日の名月を楽しみにしているが、古来、満ちている月よりもこれから闇の月に向かっていく「十六夜(いざよい)の月」を楽しむ心性も日本人はもっていたようだ。
十六夜はわずかに闇の初哉(はじめかな) 松尾芭蕉
十六夜の月は十五夜の月より50分遅く現れる。その「ためらうように出てくる月」の名称に「猶予う(いざよう)>>躊躇するさま」という読みを充てたのは、とても素敵に思える。
欠けている月、そして「欠け出し闇に包まれていく月」に「ある情緒」を覚える感性については説明する言葉を私は持たないが、「猶予う(いざよう)」という言い方と語感に日本人としてのこころが震えるのは確かだ。
完全で非の打ちどころの無い「美しさが前面に出たもの」よりも、奥ゆかしさを持つものに感じ入る心。
記録破りの暑い夏を乗り越えた今、そして人生の第3コーナーを通り過ぎた自分にも何か「十六夜(いざよい)の月」を待ちわびる心が少しわかるようになったようだ。。。
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